はじめに

働き方の多様化が進む中、テレワークという新しい形態の仕事スタイルが注目されています。場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を可能にするテレワークには、様々なメリットとデメリットがあります。本記事では、テレワークの概要から導入のポイント、具体的な手法までを詳しく解説していきます。

テレワークとは

まず、テレワークの定義から確認しましょう。テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用して、オフィスに足を運ばずに仕事ができる働き方のことを指します。

テレワークの3つの形態

テレワークには、大きく分けて以下の3つの形態があります。

• 在宅勤務: 自宅でパソコンなどを使って業務を行う
• モバイルワーク: 外出先や移動中にスマートフォンやタブレットを使って仕事をする
• サテライトオフィス勤務: 本社や支社ではなく、自宅に近い場所にあるサテライトオフィスで勤務する

企業や従業員の状況に応じて、これらの形態を組み合わせて利用することができます。柔軟な働き方が可能になるため、ワークライフバランスの改善にもつながります。

テレワークの歴史

テレワークの概念は、1970年代のアメリカで生まれました。当時の石油危機やマイカー通勤による環境問題を受けて、在宅勤務の推進が提唱されたのがきっかけです。その後、ICTの発達に伴いテレワークの形態は進化し、現在に至っています。

日本でも1980年代からテレワークの取り組みが始まり、政府によるさまざまな施策が講じられてきました。特に新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、多くの企業がテレワークを導入する流れとなりました。

テレワークのメリット

企業や従業員にとって、テレワークには様々なメリットがあります。主なメリットをご紹介します。

企業側のメリット

• オフィスコストの削減が可能
• 生産性の向上が期待できる
• 優秀な人材の確保と定着が容易になる
• BCP(事業継続計画)対策になる

オフィススペースの削減によるコスト削減や、通勤時間の削減による生産性の向上が見込めます。また、勤務地に制約がなくなるため、優秀な人材の確保と定着が容易になります。さらに、災害時などにも事業を継続できる体制を構築することができます。

従業員側のメリット

• 通勤時間の削減によるストレス軽減
• ワークライフバランスの改善
• 育児や介護との両立がしやすくなる
• 移動の自由度が高まる

従業員にとっても、通勤時間の削減によるストレス軽減や、ワークライフバランスの改善など、メリットは多岐にわたります。家事や育児、介護との両立もしやすくなり、転勤の機会が減るなど、生活の質の向上につながります。

テレワークのデメリット

一方で、テレワークにはデメリットもあります。企業と従業員の両方の視点から、主なデメリットを確認しましょう。

企業側のデメリット

• セキュリティ対策の強化が必要
• 適切な労務管理が困難
• 組織力の低下が懸念される
• ICTツールの導入コストが発生する

テレワークでは社外からのアクセスが増えるため、セキュリティ対策の強化が欠かせません。また、従業員の勤怠管理や作業状況の把握が難しくなるなど、適切な労務管理が課題となります。対面でのコミュニケーション機会が減れば、組織力の低下も危惧されます。さらに、テレワークに必要なICTツールの導入には一定のコストがかかります。

従業員側のデメリット

• 運動不足による健康リスクの増加
• 対面コミュニケーションの減少
• セルフマネジメント力が必要
• 仕事と私生活の境界線が曖昧になる可能性

従業員側では、運動不足によるメンタルヘルスやフィジカルヘルスの悪化が懸念されます。対面でのコミュニケーション機会が減れば、孤立感や職場の雰囲気の共有が難しくなります。また、自己管理能力が求められ、さらに仕事と生活の境界線が曖昧になるリスクもあります。

テレワークの導入ポイント

テレワークのメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるためには、適切な導入と運用が不可欠です。導入のポイントを解説します。

テレワークの導入目的を明確化する

まずは、テレワーク導入の目的を経営層と従業員の双方で共有することが大切です。生産性の向上、コスト削減、優秀な人材の確保など、具体的な目標を設定しましょう。目的が明確になれば、その後の施策を立てやすくなります。

必要なICTツールを整備する

テレワークを効率的に行うには、適切なICTツールの導入が不可欠です。具体的には以下のようなツールが挙げられます。

ツール	用途
ウェブ会議システム	オンライン会議の実施
ビジネスチャットツール	リアルタイムのコミュニケーション
グループウェア	スケジュール管理、文書共有など
勤怠管理ツール	従業員の労働時間管理

セキュリティ面での配慮も忘れずに、有料のツールを適切に導入することをおすすめします。

労務管理体制を見直す

テレワーク下での適切な労務管理は、企業にとって大きな課題です。具体的には以下の対策が考えられます。

• 勤怠管理ツールの導入
• 目標管理制度の導入
• 評価制度の見直し
• 従業員教育の強化

ICTツールの活用に加え、評価制度の見直しや従業員教育の強化など、体制の整備が重要になります。

まとめ

テレワークは、企業と従業員の双方にメリットをもたらす働き方改革の有力な手段です。一方で、様々なデメリットや課題もあるため、適切な導入と運用が不可欠となります。テレワークの目的を明確化し、必要なICTツールを導入するとともに、労務管理体制の整備を怠らないことが大切です。テレワークのメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えることで、企業の生産性向上と従業員の満足度向上の両立を図ることができるでしょう。

\